「明るい人がいい」
「経験がある人がいい」
「20代・30代の若手に来てほしい」
「コミュニケーション力のある人に来てほしい」
採用したい人物像について社内で話すと、このような意見が出ることがあります。
一見すると「採りたい人」が決まっているように見えますが、同じ言葉でも、人によって思い浮かべている人物は違うかもしれません。
たとえば「コミュニケーション力のある人」と聞いて、積極的に話せる人を思い浮かべる人もいれば、周囲へきちんと報告・相談できる人をイメージする人もいます。
採用ペルソナを考える目的のひとつは、こうした頭の中にある人物像を具体的にし、採用に関わる人たちの認識をそろえやすくすることです。
今回は、採用ペルソナとは何か、どのように作るのかを、ユノモが採用支援の中で使っている「理想の人材シート」の考え方も交えてご紹介します。
採用ペルソナとは?
採用ペルソナとは、自社が採用したい人を、より具体的な人物像として整理したものです。
「製造経験のある人」「20代の若手」といった大まかな採用ターゲットだけでなく、現在どのような仕事をしていて、仕事にどんな悩みを持ち、転職先に何を求めているのかなどまで考えていきます。
採用ターゲットや採用要件と似ていますが、役割は少し異なります。
| 考え方 | 主に整理すること |
|---|---|
| 採用ターゲット | どのような層に来てほしいか |
| 採用要件 | 採用するうえで必要な条件や判断基準 |
| 採用ペルソナ | その人がどんな仕事・考え方・悩みを持つ人物なのかまで具体化した人物像 |
ただし、細かなプロフィールを作ること自体が目的ではありません。
大切なのは、「この会社、この仕事では、どんな人なら活躍しやすいのか」を具体的に考え、求人や面接で使える状態にすることです。
実際にユノモがお客様の支援でペルソナを考える際にも、「求職者をよりリアルに考える」ことを大切にしています。
年齢や経験だけを見るのではなく、なぜ転職しようと思っているのか、どんなことに悩み、次の会社に何を求めているのかまで考えていきます。
採用ペルソナを作る3つのメリット
採用ペルソナを作ることで、まず「採りたい人」に対する社内の認識の違いに気づきやすくなります。
同じ部署で働いていても、ある人は「経験がある人に来てほしい」と考え、別の人は「未経験でも素直に覚えてくれる人がいい」と考えていることがあります。
こうした違いを言葉にしてみることで、誰を採用したいのかを改めて話し合うきっかけになります。
また、人物像が具体的になると、求人で何を伝えるべきかも考えやすくなります。
たとえば「今の仕事とは違うことにも挑戦し、使えるスキルを増やしたい人」を想定するのであれば、
仕事内容だけでなく、入社後に身につく技術や将来任せる仕事なども重要な情報になります。
求職者が求めていることが変われば、その人にとって魅力に感じる「会社の良さ」も変わります。
キャリアを積みたい人には教育や成長の機会が魅力になり、
これまでの経験を活かしたい人には、任される役割や将来のポジションが魅力になるかもしれません。
さらに、その人物像は面接で確認するポイントを考える土台にもなります。
採用ミスマッチが起こる原因や、人物像を整理しておく意味については、「採用ミスマッチとは?起こる原因と防ぐために見直したいポイント」でも詳しく紹介しています。
採用ペルソナはどう作る?4つのステップ
1.実際の仕事から「どんな人に来てほしいか」を考える
ペルソナを作るときに、いきなり年齢や趣味などのプロフィールから考える必要はありません。
まずは、採用する仕事そのものから考えてみましょう。
- この仕事では、どんな力が求められるのか
- 今、現場で活躍している人にはどんな特徴があるのか
- これから、どんな人に仕事を任せていきたいのか
- 入社後に教えられることと、最初から必要なことは何か
こうしたことを整理すると、「経験年数」などの条件だけでは見えにくかった人物像が少しずつ具体的になります。
2.採用に関わる複数の人が、それぞれ人物像を書いてみる
採用ペルソナは、採用担当者が一人で考える方法だけではありません。
ユノモでは採用支援の中で、これから入ってくる人と仕事をする方や、採用・受け入れに関わる方など、複数の人にそれぞれ「理想の人材シート」を書いてもらうことがあります。
シートでは、年齢や性格などの基本的な人物像だけでなく、現在の仕事内容、企業選びで重視していること、身につけたいスキル、仕事の悩み、転職理由などまで考えていきます。
参考までに、ユノモが採用支援で使用している「理想の人材シート」では、次のような項目を整理しています。
| 項目 | 理想の人材(人物像)の属性や考えていること |
|---|---|
| 部署・職種名 | どの部署・職種で働く人か |
| 年齢 | どのくらいの年代を想定するか |
| 性別 | どのような人物を想定するか |
| 学歴 | どのような学びや経験をしてきたか |
| 家族構成 | どのような生活背景があるか |
| 趣味 | どのようなことに興味があるか |
| 性格 | どのような性格・考え方の人か |
| 現職(前職)の仕事内容 | 現在またはこれまで、どのような仕事をしているか |
| 企業選びで重視している点 | 転職先を選ぶときに何を大切にしているか |
| 仕事で身につけたいスキル | これからどのような力を身につけたいか |
| 保有スキル | どのような経験・資格・技術を持っているか |
| 年収 | 現在どのくらいの収入を得ているか |
| 仕事の悩み | 現在の仕事で何に悩んでいるか |
| 悩みに対する具体的な行動 | 悩みを解決するために何をしているか |
| 転職理由 | なぜ転職を考えているのか |
すべての項目を細かく決める必要はありません。
大切なのは、プロフィールを埋めることではなく、「この人は今どんな状況にいて、何を求め、なぜ転職しようとしているのか」まで具体的に考えることです。
セミナーでも、こうした項目を社内でそれぞれ出し、意見交換をしながら一人の人物像に整理していく方法をご紹介しています。
実際の支援先で、同じ部署に所属する複数の方にそれぞれ書いてもらったケースでは、考えていた人物像に大きな違いがなかったこともあります。
一方で、会社や部署によっては、それぞれが思い描く人物像が大きく異なることもあります。
まずは、これから入ってくる人に関わる複数の人で、それぞれ別々に書いてみることで、「同じ人を採ろうとしているつもりだったけれど、実は考えている人物像が違った」ということに気づけます。
3.違いが出たら、「なぜそう考えたのか」を話し合う
書いた内容が違ったときに、誰か一人の答えを正解にする必要はありません。
むしろ、違いが出たところが話し合いの入口になります。
たとえば、「経験者がいい」という意見と、「未経験でもよい」という意見が分かれた場合は、なぜ経験者が必要だと思うのかを確認します。
話していくと、「この仕事は入社後に教えられる」「この部分だけは経験が必要」「経験よりも周囲へ相談できることの方が重要」といったことが見えてくるかもしれません。
ペルソナを作る目的は、複数の意見を平均して無難な人物像を作ることではありません。
違いが出た理由を確認しながら、自社として本当に重視したいことを整理していくことが大切です。
4.求人や面接に使える人物像にまとめる
話し合った内容をもとに、採用したい人物像を整理していきます。
たとえば、「30代の経験者」といった属性だけで終わらせるのではなく、
- 現在どのような仕事をしているのか
- どのような経験やスキルを持っているのか
- 仕事で何を大切にしているのか
- 今の仕事にどのような悩みがあるのか
- 転職先に何を求めているのか
- 今後どのような仕事やスキルに挑戦したいのか
などを組み合わせて考えます。
ユノモが使用している「理想の人材シート」でも、現在の仕事だけでなく、仕事上の悩みや、その悩みに対してどのような行動を取るか、転職理由まで整理できるようにしています。
ここまで人物像が見えてくると、「この人に自社の何を伝えれば興味を持ってもらえそうか」「面接では何を確認したいか」も考えやすくなります。
採用ペルソナを作るときの注意点
理想を盛り込みすぎない
「経験も豊富で、資格もあり、人柄もよく、将来はリーダーになれて、条件面への希望も少ない」といったように、希望をすべて盛り込むと、実際にはほとんど出会えない人物像になってしまいます。
「あったらよい条件」と「この仕事をするうえで本当に必要なこと」を分けて考えることが大切です。
属性そのものを採用条件にしない
人物を具体的に想像するために、年齢や家族構成、趣味などを設定することもあります。
ただし、こうした属性を細かく決めることと、その属性をそのまま採用条件にすることは別です。
「なぜその人物像を想定したのか」「実際の仕事や働き方とどのような関係があるのか」を確認しながら考えましょう。
ペルソナを作って終わりにしない
人物像を作っただけでは、採用活動は変わりません。
その人に求人で何を伝えるのか、応募条件は適切か、面接では何を確認するのかまでつなげて考えることが大切です。
また、実際の採用活動を進める中で、「想定していた人物像と違った」「もっと重視した方がよいことが分かった」ということがあれば、ペルソナも見直していきましょう。
採用ペルソナは、社内の認識をそろえるためにも使える
採用ペルソナというと、一人の理想的な人物を細かく作り込む作業のように感じるかもしれません。
しかし、ペルソナを考える意味はそれだけではありません。
採用に関わる複数の人がそれぞれ「どんな人に来てほしいか」を考えてみると、共通している部分だけでなく、意見が違う部分も見えてきます。
一人で考えているだけでは出てこなかった言葉や、普段は気づかなかった視点が見つかることもあります。
その違いをきっかけに、「なぜその人が必要なのか」を話し合い、会社として採りたい人物像をそろえていくことも、採用ペルソナを作る大切な役割です。
人物像が整理できたら、次は「その人を面接でどのように見ていくか」を考える必要があります。
次の記事では、「面接で見るべきポイント|評価観点の作り方」について詳しく紹介します。
採用ペルソナや採用設計でお悩みの方へ
ユノモでは、採用したい人物像を整理するところから、求人票への反映、面接で見るポイント、入社後の受け入れまでを含めて採用設計をご支援しています。
社内で採りたい人のイメージがそろわない、求人を作るたびに条件が変わる、どんな人を採用すればよいのか整理できていないという場合は、一度それぞれが考えている人物像を書き出すところから始めてみてください。